審査(講評)の仕方
何を基準にどう審査したらいいか?
怪集は、一般から作品を公募する大会ですが、その作品の善し悪しを決める審査員は、応募者自身と一般読者に務めていただくというルールになっています。
応募者は自分の作品の出来を自己査定すると同時に、他の応募者の応募作を相互に審査することになります。
自分の作品をどこまで客観視できるか、ライバルの作品を褒める度量はあるか。
もちろん、自分の作品を殊更に持ち上げるのも、ライバルの落ち度を衝くのも自由です。
加えて一般読者も審査員に加わり、同じように作品への審査(講評/採点)を行います。
応募者と一般審査員に認められた作品が評価を得、受け入れられなかった作品は評価されません。
実にシンプルで、そして案外過酷なルールです。
自作品の自己査定も、ライバル作品の審査も、そのどちらでもない立場の一般審査員の講評も、すべきことはすべて同じです。
ここでは、審査の仕方を解説します。
怪集では、審査は原則として「審査をされる側が誰であるかについては伏せるけれども、審査をする側がどのような判断を下したか、どの作品にどのような理由で評価が集まったかを完全に公開する」という方針です。
昨今では読者の価値観の多様化が進み、主催者の用意した審査結果に全ての読者が右へ倣えの反応をするとは限らなくなってきています。好みの多様化によって、誰にどんな読まれ方をするのかわからないのが、現在の出版界の状況でもあります。
読み物というのは、できるだけ多くの人に読まれ、愛され、支持されることで、その評価が高まっていくものでもあると思います。同時に、執筆の労苦を経験している人間でなければ言い出せないこともあるでしょうし、自分が心がけていることを、自分以外の応募者がどの程度できているのかを審査することで、相対的に自分自身の作への理解を深めることにもなります。
より多くのライバルが認めたものでなければ、より多くのライバルたちは納得できないでしょう。
「これは参った」とか「これは気に入った」と多くの人に言わせることができたものであれば、納得して結果を受け入れられるのではないかとも思います。
また、良き読者として他者の書いたものをよく読み込み、消化できなければ、怪集のルールを飲み込んでいくことも難しいだろうと言えます。
読者としては楽しんでいただきたく、そして同時に応募者としては苦しんでいただこうと思っています。
●公開された作品を読む ――まずは読まなきゃ始まらない
怪集では、自己査定、相互審査、一般講評という3種類の審査/講評があります。
すべき手続きは全て同じで、エントリーblogに公開作品を読んで、コメント講評/トラックバック講評のいずれかを行うということになります。
それぞれの違いは次のようなものです。
自己査定は、応募者自身が自分の応募作品について採点するというものです。
これは必須条件ですが、このときに気をつけなければならないことがあります。
怪集には、最終結果が発表されるまで、作者は自分の作品がどれであるか名乗り出てはいけない、というルールがあります。ペンネームと講評者名をそれぞれ別の名前に分けることが義務づけられているのは、このためです。
自己査定は、作者自身の立場による自己作品の解説という形ではなく、あくまで作者自身ではない、読者の一人として自作品を読み、自作品への評価を下さなければなりません。作者にしかわからないが、本編には語られていないことを書いて、発表済みの自作品を補完するといったこともできません。読者として、自作品の出来はどうなのかについて自己採点してください。これは必須です。
相互審査は、応募者が他の応募者の応募作品について審査を行うというものです。
自分の作品と比べてライバルの作品の出来はどうか、自分よりもよいと思えばそのように講評し、自分より劣ると思えば容赦なくそのように配点することができます。
自分の作品も同様に他の応募者による相互審査の洗礼を受けることになります。
互いに自作品以外は誰がどれを書いたかはわからない状態で、作品の善し悪しだけで評価を下すことになるわけです。納得がいかない作品が高評価を受けるのが許せないと思うなら、自分の感性に基づいて思い通りに配点を行うことができます。自作より優れていると思えるものには素直に称賛を送ることで、それが全体としての評価を定めていくことになります。これは、応募者の見る目或いは審恐眼とも呼ばれるものが試されると同時に、良いモノを良いと認める度量の有無も試されることになります。これも必須です。
一般講評は、応募者ではない一般読者によって行われる審査です。
一般読者は、言わば将来的に書籍が出版されたときに、お金を出して本を買う読者=消費者です。
応募者、著者の苦労を配慮してくれる人もいれば、結果が全て、自分の好みに合うかどうかが全て、というシンプルな判断を下す人もいます。読者というのは、作者の都合や努力にお金を出してくれるばかりではなく、作品に対する満足で評価を下す、ワガママで冷徹な存在でもあります。
一般講評については、遠慮なくワガママに、自分の思った通りに意見&配点をお願いします。
作者にとって理不尽に見えても、作者の思惑通りの反応をするとは限らないのが読者です。
熱心にリスペクトしてくれる存在であると同時に、同じ作者のものであったとしても(それが誰の作かわからない怪集ではなおのこと)、作品の出来に満足できなければシビアな反応をするのもまた同じ読者です。
仕事で書くようになれば、そんな読者の気まぐれな反応に翻弄されるようにもなるわけなのですが、一般講評はそうした読者の反応を、そのまま配点として対応させるためのものです。
一般読者を味方に付け、作品内容のみで魅了できるかどうかが試されます。
応募作品は、原則として到着順にエントリーblogに公開されます。
http://www.kaisyu.info/2009/entry-blog/
その時点でトップページから読むことができる作品は、上に行くほど新しく下に行くほど古くなります。また、長い作品は途中で省略されますが、作品名を選べば全文を読むことが出来ます。
10作品程度以上を過ぎると、古いものから順にトップページからは見えなくなりますが、画面左側にあるカレンダーから、過去に公開された作品を読むことが出来ます。
上は、通常のパソコンのディスプレイで読む場合のレイアウトです。
Internet
Explorer、FireFox、Opera、Sleipnir、safariなどの一般的なパソコン用ブラウザで読む場合、このように表示されます。
また、作品一覧では、タイトル(公開順)から作品掲載ページにリンクされています。
エントリーblogを一般的な携帯電話から読む場合は、パソコン向けとは若干レイアウトが異なります。
http://www.kaisyu.info/2009/entry-blog/blog.cgi?k
上に行くほど新しく、下に行くほど古いのは同様ですが、パケット節約のため文章の大部分が省略された表示になります。作品名をクリックすることで全文を読めるようになるのはパソコン版と同様です。
ただし、一般的な携帯に対応した表示方法では、携帯電話からコメント講評を書き込むことができません。あくまで表示(閲覧)のみとなります。
(4)エントリーblogの新着作品をフルブラウザ対応携帯電話で読む
携帯電話からコメント講評を書き込むためには、フルブラウザ対応携帯が必要です。
http://www.kaisyu.info/2009/entry-blog/blog-k.cgi
Opera、Mobile
Operaなどを搭載した携帯電話(auで言えばPCサイトビューアー相当)、NINTENDO
DS、PSP、iPod touchなどからも閲覧&コメントが可能になります。
講評方法はパソコン版のコメント講評と同じです。
ただし、パソコン版のレイアウトにあるカレンダー表示などは省略されるため、バックナンバーは公開済み作品の「2008年8月」などのリンクを辿る必要があります。
●コメント講評の場合 ――読んでその場で講評を書くなら
公開作品を読み進めていくと、作品の終わりの所に次のような記入個所が出てきます。
コメント講評では、このダイアログを埋めて講評を行うことになります。
このうち、講評者名とパスワードは必ず記入しないと、書き込む(送信する)ことができません。これは、自動SPAM対策として施されたセキュリティになっています。
講評者名は、作品応募者としてのペンネームとは別の講評者名を入力して下さい。
また、会期中は一貫して同じ名前を使って下さい。これは一般審査員も同様です。
メールアドレス、URL(自身のblogなど)は任意となっており、コメント講評では特に記入しなくても問題ありません。
配点では、作品の点数を付けるとしたら何点が妥当であるかを考えて、+4〜−4点の範囲で決めて点数を選んで下さい。
配点を決めたら、その点数にした理由(配点理由)と作品に対する講評、感想文などを書いて下さい。
講評の長さには特に制限はなく、長くても短くてもかまいませんが、「なぜその点数なのか」について、講評者の信条、配点した理由などが理解できるように書いて下さい。
配点の指針は人によって重視する点が異なると思いますが、例えば以下のような点を基本として評価して下さい。
ここでは文章力を、「描写力」(文体作風、ボキャブラリの多寡、文法の正しさなど、戦術的面)と「構成力」(全体のバランス、話の組み立てなど、戦略的面)に分けています。
このほか、「虫」ルールの説得力、枝を張った他の作品との設定が納得できるほどの説得力があるかどうかなどを配点の基準に変えていただいても結構ですが、1項目を+1〜−1の幅で採点してください。
また、怪集が求めるのは恐怖小説。怖くなければ始まらないわけで、ザワワでもゾクリでも、怖さを感じたかどうかは重要な審査ポイントです。
その上で、配点に至った理由、注目した点などについて簡単に書いて下さい。
(3)書き損じの訂正、点数の変更の仕方
自分自身が書いたコメント講評は、予めパスワードを入力しておくことで削除することができます。
登録してしまった書き損じを訂正する場合は、登録済みの書き損じを一度削除して、新たに書き直して下さい。
また、点数を変更する場合(後半に公開された作品などと読み比べて、初期作品の評価が変わってきた場合など)は、書き損じと同様、古い講評を一度削除してから、新しい配点+講評文を再登録して下さい。
点数に変更はなく、補足意見を追記する場合は、配点でNAを選んで下さい。
配点の0点は、「配点は行った、しかし点数は0点だった」というものです。これに対してNAは「配点は行わない」と宣言するものです。「講評済み配点なし」と「同一人物による複数回講評」を集計時に見分けるため、「配点0点」と「配点以外」を分けています。この見分けは人間の目視ではなくソフトウェアによる自動集計で行われているので、NAで講評が書かれていても、それは集計時に「講評をしていないもの」と見なされてしまいます。
必ず配点を忘れずにお願いします。
●トラックバック講評の場合 ――じっくり長文で講評するなら
トラックバック講評は、講評者各位が自前で用意した講評用blogから、作品公開ページにトラックバックを送ることで講評を行うというものです。
まず、講評用に各自でblogをご用意下さい。
講評用のblogから、怪集のエントリーblogにリンクを張ってください。
自分の講評blogに、1作品につきひとつのエントリーで、その作品に対する講評を書いて下さい。
複数作品への講評を、ひとつのエントリーから送ると、正しく集計することができません。
必ず1作品=ひとつのエントリーにしてください。
このとき、エントリーのタイトルは、必ず次の書式で書いてください。
【+6】凄く怖い話 |
まず、【 】内に全角文字(2byte)で点数を書き、続いて講評を行う作品のタイトルを書いて下さい。
点数の数字、記号「+」「−」は、必ず全角(2byte文字)を使って下さい。半角(1byte文字)は、稀に記号が半角スペースに自動的に置き換えられてしまう場合があります。
【 】は、点数を集計する際に必要になるタグになりますので、〈
〉、( )、[ ]など、その他の記号に置き換えないで、必ず【 】を使ってください。
トラックバック講評でも配点の基本指針はコメント講評と同じです。
配点の指針は人によって重視する点が異なると思いますが、以下のような点を基本として評価して下さい。
このほか、「虫」ルールの説得力、枝を張った他の作品との設定が納得できるほどの説得力があるかどうかなどを配点の基準に変えていただいても結構ですが、1項目を+1〜−1の幅で採点してください。
これに加えて、トラックバック講評では+2〜−2を加算することができます。この+2〜−2は、好きな項目に自由に加減算して使うことができます。
トラックバック講評は長文の詳しい講評を行う方が多いこと、エントリーblogへのサーバ負担の軽減に協力していただけていることなどから、+2〜−2の+αが用意されています。
トラックバックによる講評では、トラックバックがうまくできないことが極稀に起こります。
これは、SPAM対策のためのセキュリティ強化などで、nifty.comやfc2.comなど一部、.comドメインのblogサービスからのトラックバックが反映されないケースや、エントリーのタイトル(件名)部分に半角の記号が使われていた場合などに起こることがあるようです。
トラックバック講評を送った後は、正しくトラックバックされているかどうかを確認してください。
トラックバックが反映されていない場合は、怪集実行委員会宛に、使用しているblogサービスのURLをメールで報せ下さい。
トラックバック・タイトル文字化けなどで点数不明の場合、講評がカウントできず無効になる場合があります。
コメント講評の場合と同様、配点の理由、講評文を、エントリー本文に書いておいて下さい。
なぜその点数を付けるに至ったかの理由をお願いします。
また、トラックバック講評では、エントリー本文内に講評対象となっている作品ページのURLを入れておいて下さい。
コメント講評用のダイアログの下に、
■トラックバックこの記事へのトラックバックURL(こちらが本物):http://www.kaisyu.info/2009/entry-blog/blog.cgi/20090715013744 |
というURLがあります。
このURLを各自の講評blogのトラックバックに指定して下さい。
エントリーblogはトラックバックの受信は許可制ではなく自動で行っていますが、上述のように稀にセキュリティ上の理由から発信元blogのあるサイトそのものが接続拒否されてしまう場合があります(これはコメント講評でも起こることがあります)。
トラックバックを送ってから30分以上待っても反映されない場合(コメント講評の書き込みを拒否される場合も)は、拒否テキストの指示に従うか、メールか、応募受付CGIの事務局問い合わせなどから、使用しているblogの名前・URLなどをお知らせ下されば、セキュリティの例外として除外設定を行います。
トラックバックが成功すると、該当作品のページに講評用blogからのトラックバックが表示されます。
(4)書き損じの訂正、点数の変更の仕方
講評用blog内での書き損じの訂正は、各自のblogの仕様に沿って自由に行えます。
しかし、トラックバックで飛ばされたエントリータイトルは、いちばん最初に記入された点数がそのまま残るため、講評用blog内での訂正が反映されません。また、トラックバックの削除は主催者側でしか行えません。
講評の訂正、書き損じの訂正などによって配点が変わった場合は、再度トラックバックを送り直して下さい。
その上で、怪集
質疑応答BBSにて、重複しているトラックバックがあることをお知らせいただければ、逐次古いほうのトラックバックを主催者側で削除します。
2009年10月1日23時59分59秒までに受信したものを持って、全ての審査を締め切ります。
その後、コメント講評+トラックバック講評の配点を全て集計し、作品単位での合計得点の順位表を発表します。
作品単位での集計結果を発表する際、「その作品を書いたのは誰か?」を、エントリーNoでのみ発表します。
応募者のペンネームはまだ公開されませんが、どれとどれを書いたのが同じ応募者なのかが判明します。これを同定と呼びます。
エントリーNoごとの獲得点数を合計します。これを、暫定的な応募者単位の順位表として発表します。
最終順位の算定方法は単純な合計点数に留まらないため、あくまで暫定順位です。
暫定順位表に基づき、「誰を推薦するか?」を応募者+一般審査員、さらには審査に関わらなかった読者の全ての方から募集します。ここまでの全てのデータを参考に、傑作選収録作と最終的な順位を決定します。
(5)最終的な順位と応募者名は、傑作選誌上及び公式サイトで発表する
最終的な順位と応募者名は、2009年11月発売予定の怪集傑作選誌上及び怪集公式サイト上で発表されます。